洗濯機 不具合にまつわる数々の資格

ボーナス分の4月から翌年3月までの合計額を年間総労働時間数で割れば賞与の単価が算出され、推計式で換算した値をその月の労働時間数で割り、これに賞与の単価を加えると時間当たり賃金が算出できる。
この値は名目であり、これを消費者物価指数で除したものが実質の時間当たり賃金である。 時短の影響はかなり大きなものとなっている(日本の経済停滞と時短との関係をはじめて指摘したのは私である)。
90年代はじめの月当たり賃金と時間当たり賃金との格差は、かなり大きなものになっている。 この差は時短によるものである。
76〜91年度では、時短による賃金上昇は年平均0.1%であったが、91年から93年にかけては、年平均2.5%にも実際に、賃金をカットするのはそう容易ではない。 多くの企業で、賃金をカットするためには、会社が危機的状況にあるか、特定の従業員個人が特に働きが悪いかを示さなければならないというような労働協約が結ばれている。

会社が自ら危機的状況にあるといえば取引先が逃げてしまうだろうし、特定の従業員の給与をカットすることができても、総賃金をカットするようなことはほとんどない。 賃金の硬直性と労働分配率実質賃金が上昇すれば、企業は雇用を削減する。
新規採用を削減し、パート労働者を力とする。 雇用が削減されれば、生産が減少する。
雇用がそれほど削減されなければ、利潤が可能であろう。 80年代以降、多くの国で採用された構造改革とは、賃金をカットし、労働分配率を低下させることだった。
その方法としては、労働組合を弱体化させ、その交渉力を弱めるというイギリスのサッチャー政権流の強面方式と、オランダのように労使合意のもとに賃金抑制を行うという柔軟方式があった。 雇用が圧縮される。
90年代はじめの実質賃金の上昇にもかかわらず、失業率の上昇はきわめて緩慢だったからである。 賃金に硬直性があれば、物価下落によって労働分配率が上昇し、利潤が圧縮される。
日本はかつて労働分配率の低い国といわれていたのだが、90年代を通じて上昇し、いまや世界一、労働分配率の高い国とないう経路が大きく働いたように思われ日本において、この方式を採用することはできない。 なぜなら、80年代のイギリスにしるオランダにしろ、インフレに悩んでいた国だったからだ。

イギリスやオランダでは、賃金の抑制とともにインフレ率が低下し、経済の不確実性が低下し、それが経済成長に結びついた。 しかし、日本では、賃金をカットしてもデフレが悪化するだけである。
日本において、98年のマイナス成長によって賃金がカットされたが、労働分配率は低下するどころか上昇し、デフレは深刻化して、成長率が高まる兆しはない。 90年代に、デフレーションによって実質賃金が上昇したことを見た。
では、デフレーションは、どの程度、失業率を上昇させ、実質GDPを停滞させただろうか。 デフレーションと失業率には「フィリップス・カーブ」といわれる関係があり、失業率と実質GDPには「オーカン法則」という関係がある。
フィリップス・カーブとは、物価と失業率のあいだには少なくとも短期的には負の相関があるという経験則である。 オーカン法則は、失業率が高まれば実質GDPが減少するが、数量的な関係は安定しているという法則物価と失業率に短期的には負の相関関係があり、長期的にはそれほど関係がないことは次のように説明される。
物価が上がったときに失業率が低下するのは、物価の上昇によって利潤が増大し、企業が生産を拡大し、より多くの労働を求めるからだ。 これが短期的な関係だった。
しかし、物価の上昇によって雇用が増大すると、実質賃金が低下する。 労働者はやがて実質賃金の下落に気づき、名目賃金の上昇を求めるようになる。
その結果、利潤は縮小し、雇用も減少し、失業率も上昇していく。 すなわち、物価が上がれば失業率が低下するという関係は一時的なものにすぎず、長期のフィリップス・カーブは垂直であるというのである。
60年代後半から80年代までのインフレーションの時代には、世界各国でくりかえしフィリップス・カーブが計測された。 その結論は、物価と失業率には安定的な右下がりの関係はなく、物価を上げることによって永続的に失業率を引き下げることはできないというものある。
80年から92年までのデータで物価と失業率について傾向線を引いてみると、傾きはかなり急であり、失業率を1%低下させるためには、消費者物価上昇率を4%も上昇させなければならないことになる。 しかも、フィリップス・カーブは、消費者物価上昇率が3%以上の範囲に限れば、垂直であるように見える。
すなわち、失業率を低下させるためにインフレを甘受するという考え方は割に合わないものだというマクロ経済学のコンセンサスは、日本のデータにおいても成立するものだった。 ほとんど水平になっているように見える。

すなわち、インフレ率がゼロに近づくにつれて、失業は急激に増大する。 93年から2002年までのデータ、すなわち消費者物価上昇率がほぼ2%以下のときには、物価をさらに1%下げるためには失業率を1・6%上昇させなければならないことになる。
これは1%のインフレ率をマイナス1%にするためには、失業率を1・6%×2=3・2%上昇させなければならないことを示している。 実際に失業率は、80年代前半の2・5%から、90年代末には3%上昇して5%台の後半になってしまった。
構造的失業率は上昇していない90年代以降に失業率が上昇したことについて、構造的失業率が上昇したと解釈する議論がある(たとえば、厚生労働省)。 しかし、構造的失業率が上昇したと主張するためには、同じ物価上昇率のもとで失業率が上昇したことを示さなければならない。
現実には物価が下落しているのだから、構造的失業率が上昇したとはいえないはずだ。 また、厚生労働省が試算した構造的失業率は失業率の変動を追いかけており、この構造的失業率は景気変動の影響をかなり受けているように見える。
実際に、構造的失業率と循環的失業率(失業率l構造的失業率)との相関をとってみると、その決定係数は0・69となる。 すなわち、構造的失業率の69%が循環的失業率で説明されることになる。
このような数値を、構造的失業率ととらえるのはかなりへンである。 通常、構造的失業率が上昇するというのは、産業構造の変化によって、これまでと異なる職業・産業での労働が必要となっているにもかかわらず、労働市場の調整が追いつかず、失業率が高まるというものである。
ところが、職業・産業でのミスマッチ要因をあらわす産業別ミスマッチ指数、産業別雇用者数の移動は、失業率が上昇するとともに上昇しているようには見えない(これらの指数については後述)。 産業別ミスマッチ指数とは、日銀短観の産業別雇用判断DIの分散を加重したものである。
分散が大きければ、産業別のミスマッチが拡大していることになる。 しかし、産業別ミスマッチ指数は、90年前後と2000年前後を除けば、同じ値の回りを変動しているだけで、90年代に上昇しているようにはまったく見えない。
また、産業別雇用者数の移動は、産業ごとの雇用者数の変化の絶対値をその産業の雇用者数で割ったものを足し合わせたものである。
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